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Oil Style
オリーブオイルをひとさじ加えるだけで、いつもの食材が少し特別なひと皿に。 自身で野菜を育て、パンやお菓子も作る料理家は、季節の素材とオリーブオイルをどう組み合わせ、日々の食卓を楽しんでいるのでしょうか。
茨城県石岡市で、「たなか農園」を営み、ベーカリーカフェも運営する料理家・田中久美子さんに、「日清オーガニックエキストラバージンオリーブオイル」を使って、ワイン・ビール・日本酒それぞれに合う秋冬のおつまみを教えてもらいました。
さらに、地元のチーズ工房で選んだチーズを使った一品も交えながら、クリスマスや年末の集まりにもぴったりな料理をご紹介します。
東京の有名レストランで料理やパン、お菓子作りの経験を積み、「有機食材を学びたい」と石岡市に移住した久美子さん。現在は夫とともに3人の子どもを育てながら1000坪の畑を運営。四季折々の野菜を、農薬や化学肥料を使わずに栽培しています。
2014年ベーカリーカフェ「ペトラン」をオープン。畑で採れたにんじんを使った自家製酵母で作るカンパーニュやバゲットのほか、農園の新鮮な野菜を使ったサンドイッチや、地元・八郷(やさと)地区の平飼い卵を使った焼き菓子などをそろえています。
今回、料理を教わる前に立ち寄ったのが、久美子さんが懇意にしている地元のチーズ工房。ここで選んだチーズを季節のフルーツと合わせ、オリーブオイルをかけるだけのカプレーゼ風サラダも教えてもらいました。
久美子さんが長年通う「石岡鈴木牧場 ヨーグルト・チーズ工房」。 約50頭の牛を飼い、牧草やとうもろこしなどの飼料もできるだけ自家栽培しながら、牛の健康を第一にした酪農を続けている牧場です。 その生乳から作る牛乳は、自然な甘味があり、すっきりとした飲み口ながら味わいはしっかり。石岡市内の有名レストランなどでも多く使われており、遠方からもお客さんが買いに訪れます。
「こちらの牧場とはもう20年来の間柄なんです」と久美子さん。 東京のレストランで働いていた頃、鈴木牧場と縁のある同僚から「この辺りには有機野菜の生産者がたくさんいる」と聞いて石岡を訪問。その後、野菜作りを学ぶため移住した際には、ひとり暮らしの住まいも紹介してもらったといいます。現在も「ペトラン」で牛乳やチーズなどを使っているそう。この日も料理に使うモッツァレラチーズを選びました。
さっそく季節のフルーツと合わせ、カプレーゼ風のサラダに仕立ててもらいました。
「フルーツを切って、生ハムとチーズを散りばめたら、オリーブオイルをかけるだけ。本当に簡単なので、パーティーの一品にもいいと思いますよ」と久美子さん。
トマトを使う定番のカプレーゼとはひと味変えて、旬のフルーツを合わせるのが久美子さん流です。この日は石岡産のシャインマスカットといちじくを使用。みずみずしいフルーツの甘味とモッツァレラチーズのミルキーな味わいを、オリーブオイルの香りがひとつにまとめており、濃厚さと口当たりの良さが一度に楽しめます。
「フルーツならなんでもおすすめです。例えば、秋~冬なら柿やいちごもいいですね」。
久美子さんの農園で育てているのは、晩生品種の玉ねぎ。初夏に収穫して貯蔵し、冬に食べごろを迎えます。スーパーでは一年中見かける身近な野菜ですが、久美子さんが一年に一度の収穫を楽しみにしている食材のひとつです。 そのおいしさを味わう一品として教えてもらったのが、南フランスの家庭料理「ピサラディエール」。
「オリーブオイルをたっぷり使って、玉ねぎにゆっくりじっくり火を入れる“コンフィ”仕立てにすると、それだけですごくコクが出るんです。チーズがなくても十分なくらい。オリーブオイルの香りともよく合います。」
薄く切った玉ねぎに、塩とオリーブオイルをなじませてからフライパンへ。さらにオリーブオイルをたっぷりと加え、中火でじっくり火を入れていきます。ここでのポイントは「なるべく触らない」こと。
つい混ぜたくなりますが、じっと待っていると玉ねぎが少しずつ透き通り、キッチンには甘く香ばしいにおいが広がってきました。15~20分ほど火を通し、全体がやわらかく色づいたら完了です。
あとは、好きな形に整えたパイ生地に玉ねぎをたっぷりとのせてオーブンへ。玉ねぎだけでも十分なおいしさですが、今回はあらかじめオーブンで焼いたなすやかぼちゃと、南仏のハーブミックス「エルブ・ド・プロヴァンス」を合わせて焼き上げます。 季節の野菜や魚、オイルサーディンなどをのせたり、パイ生地をバゲットに替えたりと、アレンジも楽しめます。
玉ねぎのコンフィを前日に仕込んでおけば、当日はのせて焼くだけ。余裕を持って準備できます。焼き上がる頃にはオリーブオイルと玉ねぎ、ハーブの香りがふわりと立ち上り、ワインを開ける時間が待ち遠しくなる一品です
続いては、じゃがいもの切り方にひと工夫した「サーラ風ポテト」。「薄いところと厚いところ、あえて少し不ぞろいに切るのが美味しくなるコツです。カリカリしたところだけでなく、しっとり、ホクホクなど、さまざまな食感が楽しめますよ」と久美子さん。
本来はガチョウの脂を使う南フランスの料理ですが、今回はグレープシードオイルとオリーブオイルを半々ほどに。オリーブオイルの豊かな香りをまとわせながら、クセのないグレープシードオイルでカラッと仕上げます。
じゃがいもは煮崩れしにくいメークインタイプがおすすめだそう。切ったら水にはさらさず、そのままフライパンへ。たっぷりの油で揚げるのではなく、じゃがいもの半分ほどが浸かるくらいの油で、なるべく触らずじっくりと焼いていきます。次第にこんがりと焼き色がついたら完成です。
この日は、塩とすりおろしたにんにくでシンプルに味付け。さらに、久美子さんお手製のバジル塩も加えました。試食すると、ポテトチップスとフライドポテトのいいとこ取りのような食感!つい「もうひとつ」と手が伸びます。熱々をテーブルに運んだら、ぜひビールと一緒に。シンプルだからこそ、じゃがいもとオイルの相性の良さをしっかり堪能できる一品です。
さらに、蒸した魚や野菜につけて楽しむアイオリソースの作り方を教えてもらいました。
「南フランス・プロヴァンス地方で親しまれている、にんにくをきかせたソースです。魚や蒸し野菜とよく合います」と久美子さん。
にんにくは、蒸したものとすりおろしたものを両方使うのがポイントだそう。 「蒸すと辛味がやわらいで甘味やコクが出る。すりおろしたものは香りが強い。それぞれの良さを合わせて作ります」。
卵黄、塩、酢をよく混ぜ合わせ、グレープシードオイルを加えて乳化させると、マヨネーズのような状態に。そこに、弱火で約20分蒸してホクホクにしたにんにくと、すりおろしたにんにくを合わせます。オイルを一度に入れず少しずつ加えていくのが、なめらかに仕上げるポイントなのだそう。 この日は、夏に農園で収穫したバジルをオリーブオイルと合わせてペーストにし、冷凍保存しておいたものもプラスしました。旬のハーブをオイルと合わせておけば、季節をまたいで香りを楽しめます。
じゃがいもやさつまいも、れんこんなどの根菜と生鮭は、クッキングシートに包んで蒸します。両端は耐熱用のリボンで留めると、パーティー料理としての見栄えも出せます。
完成したら、アイオリソースをたっぷり添えて。シンプルな蒸し料理も、コクのあるソースを合わせることでぐっと華やかなひと皿に。「今回は鮭を使いましたが、タラなどでも。冬に美味しくなる白身魚の味わいを合わせてみてください」と久美子さん。 にんにくのコクとバジルの香り、根菜のやさしい甘味。日本酒を片手に少しずつつまみたくなる味わいです。
旬の食材とオリーブオイルで食卓を囲み、気負わず楽しむおもてなし。
「ホームパーティーなのに、ずっとキッチンにいるのは悲しいですよね。今回ご紹介した料理は前もって準備できる工程が多いので、料理する人も席について、お客様と一緒に楽しめます」と久美子さん。 前日に仕込んでおいたり、オーブンも上手に活用したり。オリーブオイルがあれば、シンプルな料理でも香り豊かなひと皿に仕上がります。
誰かと食卓を囲む日も、ひとりでゆっくりお酒を楽しむ夜も。オリーブオイルと季節の食材を組み合わせた美味しい一品で、豊かなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
写真・動画撮影・動画編集/荒井康成 文/田窪綾