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Oil Style
特別なオリーブオイルを手にしたとき、その魅力をどう楽しみますか? 「テイスティング」を知ると、できあがった料理から感じるのとはまた違った角度からオリーブオイルの個性が見え、印象が変わったり、新たな発見につながったりするかもしれません。 今回はオリーブオイルの品質評価に精通する専門家に、自宅でもできるテイスティングのコツを聞き、編集部でも実際に体験してみました。
家庭でも簡単に試せるオリーブオイルのテイスティング。専用の道具がなくても、身近なもので試せます。 オリーブオイルの品質・風味管理に20年以上携わり、現在も家庭用商品の企画や原料選定などを行っている日清オイリオグループ株式会社の担当者に、その方法を詳しく伺いました。
担当者:品評会など正式な評価の場では、IOC(国際オリーブ協会)で規定された青や赤色のグラスを使いますが、それは色で先入観を持たせないためなんです。ご自宅でテイスティングを楽しむなら、100円ショップなどで購入できるプラスチックカップで構いません。 ただ、材質には少し注意が必要です。ポリスチレンは油に弱い性質があるため、「PET」と表示されているカップを選ぶといいですね。
底が広く口がすぼまった形状なら香りを閉じ込めやすいので、湯のみ茶碗やおちょこでも代用可能です。小さな皿でフタをするとさらに香りを感じやすいですよ。 また、テイスティングを何回か行うなら、口内をリセットするための水や炭酸水も用意しましょう。
担当者:ご自宅で行うとしたら、以下のような流れがおすすめです。
■用意するもの ・プラスチックカップ(またはおちょこなど) ・水や炭酸水(リセット用)
■手順
■ポイント
担当者:テイスティングのポイントは、「オリーブの果実の香りの質」「苦み・辛みの強度」「全体のバランスや調和、余韻の持続性を感じ取る」といったところでしょうか。
特に違いを感じやすいのは4のステップです。 ワインのテイスティングや日本酒の利き酒と同じような方法で、鼻だけで嗅いだときよりもさらに香りが分かりやすくなります。また、時間の経過とともに香りが変化していく様子も体験できるはずです。
ちなみに、苦みは舌の奥のほうで感じるのに対して、辛みは喉で刺激を感じます。初めての場合、オイルをそのまま飲むのには少し抵抗があるかもしれませんが、辛みや苦みを感じ取っていただくためにもぜひ試していただきたいですね。
担当者: IOC(国際オリーブ協会)で定められた正式な評価では、「グリーンフルーティー(早摘みグリーンオリーブの青々しい香り)」「ライプフルーティー(熟したオリーブ果実の香り)」といった評価用語などを使いますし、オリーブの葉や草、グリーンバナナ、トマトなど、いろいろな表現があります。 ただ、慣れていない方が専門用語で表現するのはやはりハードルが高いと思います。
私はいつも、仕事で新しくテイスティングを担当する方に「食経験や身近な体験と結びつけて自由に表現してほしい」と伝えています。 例えば、「新茶」や「春菊」、「青い木の実」といった、誰もが想像できる身近な体験から自由に言葉にしてみる。そうすると不思議と共感が生まれます。
ご自宅でのテイスティングはオイルの個性を楽しむためのものですから、ご自身の感じたままに自由に想像して言葉にしていただければ十分だと思います。
担当者: エキストラバージンオリーブオイルには原料になるオリーブ果実の成熟度合いによって、青々しい香りのする「グリーン」と、熟した甘い果実の香りのする「ライプ」があり、その2つのバランスで香りが特徴づけられます。 日清オイリオの製品だと「ルイーザ(LUISA)有機エキストラバージンオリーブオイル」「BOSCOエキストラバージンオリーブオイル」などは「グリーン」、「日清やさし~く香る エキストラバージンオリーブオイル」は「ライプ」に分類されます。 両極端な風味を試すと違いがわかりやすいのではないでしょうか。
担当者:オリーブオイルの個性を楽しめる食材として、 まずはテイスティングの延長として、バゲットを使う方法です。 スライスしたバゲットにオリーブオイルを直接かけると、パンがスポンジのようにオイルを含むので、香りがしっかり立ち、余韻までじっくり味わうことができます。オイルだけを口にするよりも苦みや辛みがやわらぎ、抵抗感なく楽しめるのもポイントです。
次に料理と合わせる方法としては、代表的なのはカプレーゼ。 グリーン系のオリーブオイルならトマトやバジルの青々しい風味が引き立ち、スパイシーで大人っぽい味わいに。 熟したタイプならトマトの甘みやチーズのまろやかさを引き出し、コクのあるやさしい風味が感じられるはずです。同じ食材でもオイルの個性によって印象が変わるので分かりやすいと思います。
また、同じオリーブオイルでも、塩と合わせるのか、しょうゆと合わせるのかで表情が変わります。 私のおすすめはポン酢で、柑橘の香りとオリーブオイルの香りの相性の良さを感じます。ぜひ気楽な気持ちでオリーブオイルの風味や相性を楽しんでいただければ嬉しいです。
ここからは実際に「Oil Style」編集部4名で、オリーブオイルのテイスティングにチャレンジしてみました。用意したのはこちらの5種類です。
■日清やさし~く香る エキストラバージンオリーブオイル クセがなく、いろいろな料理に幅広く使いやすいオリーブオイル。酸化に強いオレイン酸が70%含まれており、コレステロールもゼロ。
■ルイーザ(LUISA)有機エキストラバージンオリーブオイル 南イタリアのオーガニックエキストラバージンオリーブオイル。有機栽培の早摘みオリーブならではのフルーティな風味と豊かな香りが特長。
■オリーブクエスト ディスカバリーシリーズ 国際オリーブ協会認定のオリーブオイルマエストロ・ドゥッチョ氏が世界各地のオリーブ農園を巡り、その時期にしか出合えない高品質のエキストラバージンオリーブオイルを厳選してお届けする、日清オイリオの人気シリーズ。
【紹介したオイルはこちら】
※オリーブクエスト ディスカバリー28 (Olive Quest Discovery 28)は完売いたしました。
プラスチックカップに同じ量を入れ、香りが飛ばないようにフタをしました。
カップを手のひらで包むように温めながら、ゆっくり回します。香りを嗅ぐだけでもそれぞれ印象が異なります。例えば、「日清やさし~く香るエキストラバージンオリーブオイル」はフレッシュなぶどうや甘めの白ワインをイメージさせるような軽やかな香り。
一方で、「オリーブクエスト ディスカバリー27」はぶどうを搾った後の皮の渋みを思わせる香りがします。その他、鼻を刺激するツンとした香りがあるものや、香りは軽やかでもどことなく重みを感じるものもありました。 3の香りを嗅ぐステップでは、似たような感想でまとまりましたが、難しかったのは4の少量を口に含み、舌で転がすステップ。
それぞれのオリーブオイルの違いは感じるのですが、どう表現すべきか、なかなか言葉が出てきません。ふだんオリーブオイルをそのまま飲む機会がないからでしょうか。 最初は「ちょっと渋みがあるね」「喉がチリチリする」「クセを感じる」といった素朴な表現にとどまり、香りで嗅ぐよりも口に含んだときの方が表現に難しさを感じました。
何度か繰り返すうちに慣れてきて「青草のような香りがある」「白胡椒のようなピリッとした風味」「トマトをかじった時のようなジューシー感がある」といった例えが出るように。
その後、用意したバゲットやカプレーゼと一緒にオリーブオイルをテイスティングすると、さらに表現がしやすくなりました。
「バゲットの香ばしさをとても強く感じる」「小麦の甘さと相まって、オリーブオイルの香りが口の中で大きく広がる」「そのまま飲み込んだときは喉への刺激があったけれど、カプレーゼにかけると甘みが強くなって、喉の刺激もなくなる」「最初は感じなかったナッツ感が出てきた」など、4の少量を口に含み、舌で転がすステップとはまた違った印象に。
同じカプレーゼでも、5種類のオリーブオイルそれぞれをかけて食べ比べてみると、トマトの風味が鮮やかになるオイル、バジルの香りを強く感じるオイルなど、際立つ食材が変わるように感じます。
飲んでみるだけでは難しかった表現も、バゲットやカプレーゼと合わせると一気に言葉があふれてきました。最初は表現に戸惑っても、回を重ねるうちに慣れてきて、自分らしい言葉が見つかります。きっとご家庭でも「これは青い香りがするね」「甘みがあるね」と自然に会話が弾むはず。ぜひテイスティングをきっかけに、お気に入りの一本を探してみてくださいね。